1.会社設立後は社会保険に加入しなければならないでしょうか?
会社は、健康保険と厚生年金保険に加入しなければならないことになっています。一般には、給料を支払うようになれば社会保険事務所に加入申請することになります。
しかしながら、会社設立直後から正社員を雇用する場合は別として、役員だけしかいない場合や役員以外にパート・アルバイト社員しかいない場合などは、社会保険に加入せず、役員個人やその他社員が国民健康保険・国民年金に加入しているケースも多くあります。
2.法人成りの場合、個人事業をどのように法人に引継げばいいのでしょうか?
従来、個人事業主として事業を行っていた人が会社を設立し、会社に事業を引継ぐことを一般的に「法人成り」といいます。
この場合、どこまでを個人事業として申告し、どこから法人として申告するか、という線引きが必要になります。
会社の設立には早くても2週間程度の日数が必要です。この間、事業を休止することなどできません。例えば、5月1日に会社の設立登記をしたとしても、会社の登記簿謄本や印鑑証明書が手に入るまで1週間程度かかります。登記簿謄本や印鑑証明書がなければ銀行口座の開設もできません。銀行口座がなければ売上代金の振込先を会社にすることはできず、従来どおり個人の銀行口座を使用せざるを得ません。
したがって、会社設立後速やかに会社の銀行口座を開設し、会社の銀行口座開設までは従来どおり個人事業とし、銀行口座開設後は法人の営業とするのが現実的です。ただし、会社に帰属するのが当然であるべき費用については、会社設立以前のものでも会社の負担としなければなりません。
3.本店所在地を決める場合の留意点について教えてください。
これから起業しようという場合、自宅をそのまま本店(事務所又は店舗)として使う場合は別として、新たに事務所又は店舗を賃借することになります。
@会社設立時点で自宅外の事務所(店舗)となる物件が決まっていない場合
この場合は、当然ながら自宅を本店所在地として登記することになります。その後、事務所(店舗)を借りた場合でも、当面はそのまま自宅を本店所在地としておけばいいでしょう。
本店の変更登記は同じ法務局管内でも3万円、法務局の管轄が異なるときは6万円の登録免許税がかかるからです。
ただし、自宅を本店所在地として登記し別に事務所(店舗)を借りた場合、事務所(店舗)所在地の市町村から法人市県民税の均等割課税を受ける場合がありますので注意が必要です。例えば、自宅(神戸市)を本店として登記をした後、大阪市内に事務所(店舗)を借りてしばらくすると、大阪府から事業所の設置届を提出するように要求されたケースがありました。こうなると二重に法人市県民税の均等割課税を受けることになりますので、速やかに事務所(店舗)を本店に変更する登記をしなければならないでしょう。
A会社設立時点で自宅外の事務所(店舗)となる物件が既に決まっている場合
この場合は、通常、事務所(店舗)を本店所在地として登記することになります。もちろん、自宅を本店所在地として登記しても構いませんが、@のケースと同様、法人市県民税均等割の二重課税を受ける可能性があります。
また、事務所(店舗)の賃貸借契約の名義をどうするかが問題になります。
会社の事務所(店舗)に使用するのですから、可能であれば法人名義で契約することが望ましいのですが、会社設立手続き中ですから厳密には会社は存在しないことになります。
家主にもよりますが、会社設立前でも定款等の書類を見せれば法人名義で契約することも可能ですので、法人名義で契約できるように家主に交渉してください。
しかしながら、家主の同意が得られない場合には、代表者個人名義での契約となります。この場合でも、家賃等の支払は当然ながら会社の経費として認められますので心配は要りません。
4.消費税納税義務免除の特例について教えてください。
会社は通常、売上代金などにプラスして受け取った消費税と仕入・経費支払にプラスして支払った消費税の差額を「消費税」として納税しなければなりません。
ところが、資本金が1000万円に満たない法人を設立した場合には、会社設立後2年間消費税の納税義務が免除されるという消費税の特例があります。
一般的に、消費税の納税額は多額になるためこの特例は積極的に活用すべきです。ただし、すべての事業者にとって、この特例が有効であるかというと必ずしもそうではありません。
受け取った消費税よりも支払った消費税の方が多い場合には、課税事業者の届出をした上で申告すれば、払い過ぎた消費税が還付されるからです。例えば、「初年度に多額の設備投資を行う予定がある」、「輸出を行なう予定がある」等の場合には消費税が還付されることがあり、この場合には、特例を適用せず還付を受けた方が得になります。
5.複数の代表取締役を置く場合の印鑑登録について
友人同士が共同で会社を設立する場合などには、代表取締役を2名以上置くことがあります。よくあるのは、1人が「代表取締役社長」になり、もう1人が「代表取締役副社長」になるようなケースです。この場合でも、「代表取締役社長」1名が印鑑登録するのが一般的です。
しかしながら、中にはそれぞれの代表取締役が別々の事業を行っている場合があります。例えば、1人の代表取締役は「レストラン」を、もう1人の代表取締役は「自動車販売業」をそれぞれ行っているような場合です。
このような場合には、それぞれの代表取締役が、それぞれの事業を独立して代表する必要がありますので、それぞれが代表印(実印)を印鑑登録することになります。